【実例】二代目社長2人の「企業理念」の考え方の違いとは?

COLUMN /

 

blog ひと言 No.66

■企業理念をひと言で言うと?

 今さらではありますが、「企業理念とは?」。敢えて言われると、ひと言で何と答えますか?

「経営の考え方」「組織の価値観」「企業の存在意義」・・・・・・

行動規範や経営姿勢を社員や顧客、広くは社会へ向けて明文化したもので、「経営・企業の軸」となるもの、という感じでしょうか。

 今、お2人のクライアント様がいます。業界と経歴はまったく違うお二方ですが、共通項が3つあります。

・40代男性

・血縁関係のない二代目社長

・今期、過去最高利益をあげた実績あり

 創業社長から事業を引き継ぎ、売上げは右肩上がりが続いているため、勢いに乗っていることは確かです。大胆な一方で、堅実な部分もありながら、シビアなものの見方と考え方で現状に甘んじない。常に業界内外を俯瞰していて、グローバル感覚も備えた先を見据えた動きをしているーーーと、これらも共通しています。

 お人柄や個人的な好みはもちろん違いますが、先代からの信頼と期待を得て、経営のバトンを渡され、今では社員からの人望もある“デキる”二代目社長の典型といえるお2人です。

■二人のデキる社長の「企業理念」の対極的な考え方とは?

 ところが、このお2人に大きく違うことが1点あります。

それは「企業理念」の考え方です。

 A社長は、ある時期の創業〇周年を境に、創業時からの「企業理念」を心機一転させました。主事業としていた専門分野からA社長の代になって事業範囲を大きく広げていった実績を踏まえ、それに加えて、今の時代に合わせたA社長主導の経営体制の証としての「経営理念」としました。

それがA社長が作った新しい「企業理念」です。

 それに対して、B社長は、「企業理念」については創業時のまま全く手を入れない、変えない。その理由は、創業の思いを言葉にした「企業理念」は、時代と事業範囲に変化があっても、創業時のまま、創業社長のものだから意味がある、という考えです。現在の最高利益があるのも、この始まりがあってのもの。逆に言うと、その事業の規模も範囲も大きく拡大しているがゆえ、敢えて「理念」は軸として存在させつつも、対外的には表に出さないという戦略をとっています。

これがB社長が考える「企業理念」の位置づけです。

 A社長もB社長も、経営的な様々な数字は明らかに創業社長を超えています。にもかかわらず、全く正反対ともいえるような「経営理念」の在り方となっています。

 私の主観で言うと、先代に対する思いの強さは、A社長のほうがずっと強いように感じます。しかし、そのA社長はスパッと新しい「経営理念」に切り替えている。

 事業の拡大路線については、B社長のほうが自分主導でやったという自負が強いように感じます。ですが、B社長は創業時と現状のズレを感じていながらも、「企業理念」には手を入れない。

 どちらが良くて、どちらが正解とは言えません。結果を出しているお二人相手に、「べき」論を言うのもおかしなものです。

 企業トップの方へのコンサルティングをするなかで、すべては「企業理念」ありき、と考えていたコンサルタントとしての私自身の在り方にも一石を投じることでもありました。

 ここでみなさんに考えてほしいことが一つ。

 あなたが創業社長であり、100年続く企業を目指すのであれば・・・・・・創業の思いを込めた「企業理念」をどうしてほしいかーー?

 考えるべきは創業時の「企業理念」を二代目社長が超えたとき、そのときはーー事業承継の重要事項といえそうです。


この記事の執筆者

yamakawa midori
山川碧子(やまかわ みどり)

株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。