■不正を起こしやすい経営者を見抜くポイント
昨今のAI(人工知能)の進化は目を見張るものがあります。そうしたなかで、企業の不正会計を見抜くAIの開発が本格化しているといいます。会計士の経験的な疑いのカンをAIに学ばせて、不正の兆候を見つけるということですが、“不正を起こしやすい経営者”として、ある仮説があることを知りました。
AIが“不正を起こしやすい経営者”を見抜くヒントは、経営者の写真。
「~(中略)年次報告書などに載っている経営者の写真が枠いっぱいに写っているか、ひとりだけで写っているか、といったことから経営者の『自己愛』の度合いをはかり、AI監査にも生かそうというもの。」(朝日新聞2018.8.15)
この「不正会計予測モデル」は、数字的要素に加えて、経営者が自社経営を分析した文章、経営者の写真なども判断要素としています。つまり、「ナルシスト傾向が強い経営者ほどリスクを取りやすく、不正も起こしやすい」という仮説による手法。AIは画像からも文字からも不正の兆候を見抜く。それは経営者の書く文章であり、経営者自身が写った写真が判断材料になるのです。
これには、違和感がある方もいれば、「なるほど」と納得する方もいるでしょう。私自身の感想としては、後者の立場。それと同時に思ったのは、この「ナルシスト」と「自信にあふれている人」のライン引きの難しさです。
■「キケン!」とAIが感じるのは自己愛が強い人!?
コンサルティングをしているなかで、経営者の方に必ずもっていただきたいものの一つが「絶対的な自信」です。しかし、「自信にあふれている人」にはなるべきですが、「ナルシスト」になってはいけない。表裏一体ともいえるそのサジ加減が本当に難しい部分です。
写真の写り方にしても、ちょっとしたコメント一つにしても、ふと出てしまうのがナルシスト的な部分なのかもしれません。きっとご本人は無意識なのだとは思いますが、見え隠れしてしまうのが怖いところです。
各社のホームページを見ていると、時々、「この社長は自己愛が強いだろう」と感じさせる企業があります。その一方で、「自己愛が強い人でなければ社長は務まらない」という声もあるかもしれません。ですが、社長個人が目立って活躍すれば良し、というのはある種のタレントであり、それは企業経営者ではありません。カリスマ性のあるなしとも違って、カリスマ性のある方は、その下に多くの人が控えている、支えられている、ということを感じさせる何かがあります。
AIが危険と感じるのは、「自己愛」の強い経営者。
御社のホームページ、ご自身の書いた文章に、自己愛があふれすぎていませんか? 仕事が好き、会社が好き、社員が好きーーこれは経営者として大事なことです。しかし、それよりも何よりも一番自分が好き、という経営者は・・・「キケン」とAIは判断するのです。
「自己愛」の見え隠れ、ご自身は大丈夫でしょうかーー?
この記事の執筆者
山川碧子(やまかわ みどり)
株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。