あえてブランディングとは言わなかった理由とは?

COLUMN /

blog ひと言 No.23
■個人としての人、企業としての人の違い

「山川さんのコンサルティングは、ブランディングと同じですか?」

と、数日前にこの春から経営幹部に昇進するという方から聞かれました。これまでも同じ質問を何度かいただいており、こう思っている方も多いのかな、と感じます。一度、弊社なりの解釈で、ここでご説明してみます。

ブランディングとは、大きく3つの対象に分けられます。

   1.企業ブランド(コーポレート・ブランド)

   2.商品ブランド(プロダクト・ブランド)

   3.個人ブランド(パーソナル・ブランド)

この3つで考えると、弊社事業は「3.パーソナル・ブランド」、つまり“人”にフォーカスした手法に当たります。とはいえ、現在、広く一般的に「パーソナル・ブランド」「パーソナル・ブランディング」といわれるの対象は、企業に属さない人、企業から出ようとしている人が、いかに社名という看板のない個人で勝負できるか、という意味合いが強いと考えています。

 それに対して、弊社の対象と考え方は全く逆であり、「企業ブランド」があって、その企業のもつ「商品ブランド」があって、その上で企業のトップ、トップに近い経営層など企業を代表した人の「個人ブランド」がある、という位置づけでいます。そのため、ベースには企業理念があり、商品・サービスの該当業界があり、自社の顧客層を考える必要があります。

 このあたりが、いかに“自分の強み”を出すか、というパーソナル・ブランディングとは意味合いが違うため、あえて「ブランディング」という言い方は避けてきたという経緯があります。

 もちろん、社長の個性を前面に出してそれを売りにしている企業もありますし、各種団体でさまざまな活動のキーパーソンとなっている方もいます。こうした方には「企業→商品(サービス)→個人」という考え方でなく、最初に「個人」がきて、その後に「商品(サービス)→企業(団体)」となります。この違いを一般的な企業、その企業のトップ・経営層と分けて考えることが必要です。

■領収書の但し書きとしてイメージコンサルティング料は?

 その一方で、ブランディング戦略室のある大企業よりも、顧客に社長の顔の見える中堅・中小企業のほうが、トップの影響力、印象力が伝わりやすいのも事実です。そして、トップその人そのものが、ダイレクトに企業イメージとして反映されてしまいます。

 こうしたトップ層の方に必要なのは、トップとしてのビジネスシーンでの印象をマネジメントする知識とスキル。ビジネスシーンでのマネジメントの一つとして、ご自身の印象、ひいては社員一人一人のビジネス印象をマネジメントする必要があります。 

 それが弊社で実施している「印象マネジメント®」になります。

 企業から「独立」というかたちなどで自ら飛び出る、企業の中で目立つための手段ではありません。例えていうならばーー、“企業”という砂で作った山があるとすると、その砂山を下から上へ、きれいな山のかたちになるように両手で何度も整えていきます。その砂山の上での両手が合わさるとき、そこにいるのはどんな人か? それがイメージできるでしょうか?

それは、企業としての「在り方」の象徴。それが社長であり、経営層の方々なのです。

 その「在り方」を整え、認識して、見えるかたちにする。外見、立ち居振る舞い、コミュニケーションの仕方を人の目に見えるようにする、それがビジネスでの印象マネジメントなのです。

 実際には、「ブランディング」より、「イメージコンサルティング」より、「印象マネジメント®」と言ったほうが、お客様に一番伝わりやすかった、抵抗感がなかった、という裏話的な理由もあります。「イメージコンサルティング料として」という但し書きには、まだまだ抵抗感のある経営者の方は少なくありませんので。 

 言葉の定義といってしまえばそれまでですが、これが弊社の考え方の基本になります。3月も終わりに近づいた年度末、改めて見えにくいものについて、言葉にしてみました。


この記事の執筆者

yamakawa midori
山川碧子(やまかわ みどり)

株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。