■一年のなかでも最も季節を先取りした装いを
「春だから、といって特に気を付けるポイントはありますか?」
と、ある経営者の方からご質問がありました。こんな季節に合わせた見た目の気づかいは必要か?と、いう質問が出るだけでも、この方の意識の高さが感じられます。これはおしゃれの観点だけではなく、社員の意識がひと目でわかるポイントでもあるのです。
3月になると、季節は春。1年で季節の移ろいを一番はっきり感じられるのが、この冬から春です。「暗」から「明」、「寒」から「温」、「陰」から「陽」に例えられるように、気分的な明るさにもつながります(最近は、花粉症で春が憂鬱という声があるのも確かですが・・・・・・)。そして、この時期は、一年のなかでも最も季節を先取りした装いをしてほしい時期でもあります。
まず、確認してみてください。
「御社の提供する商品・サービスには、季節感はありますか?」
こう質問をすると、明らかな季節商材を取り扱っている企業でないかぎり、多くの企業の方から、「あまり季節による違いはない」「年間を通じて大きな変化はない」など、似たような答えが返ってきます。
ここでカン違いしないでほしいのは、「春用」「夏用」「冬用」とはっきりうたっている商品の有無を聞いているのではありません。「少しでも季節に合わせて変わる発売やサービス内容はありませんか?」と聞いているのです。
■取り扱っている“人”も季節に合わせる必要あり
例えば・・・・・・・
製造メーカーであれば、部品自体に春用・冬用となっていなくても、完成品として発売される時期に合わせて新商品は、春モデル、冬モデルとなります。食品関連であれば、季節によって変わる旬の食材がありますし、製薬関連でしたら、インフルエンザから花粉症、熱中症まで季節によって主力が変わります。清掃・クリーニング関連ならば、まさに季節それぞれの掃除のニーズとやり方があります。小売業であれば、取り扱い商品は季節によって必ず違いがあります。人材・教育関連ならば新学期や新年度、会計関連ならば決算や確定申告など・・・・・と考えてみると、「うちは季節とは関係ない」と言い切れる企業のほうが、極端に少なくなります。簡単に「うちは季節と関係ないから」とは言えませんね。
前述した「一年のなかでも最も季節を先取りした装いをしてほしい時期」といった理由は、重いコートを脱いで軽やかな装いになりつつある春は、視覚的に誰が見ても装いの変化がわかる時期。この季節変化を御社の商品・サービスの季節性と社員の方の装いがしっかりリンクできているかが、ひと目で相手にわかってしまうからです。つまり、薄いコートと厚手のコートの違いはわからなくても、冬のセーターと春のシャツやブラウスの違いはひと目でわかる、という意味です。
ですので、取り扱い商品・サービスに季節を感じさせる“何か”があるのであれば、それを取り扱っている“人”も季節に合わせる必要があります。何度も言うように、春になる3月は装いの変化がとくに目につきます。誰が見ても一目瞭然といってもいいかもしれません。
要は、「いつまでも分厚い冬物を着て、春向け商品を売っていては違和感がありませんか?」ということです。売る人間が、商品やサービスの後ろをついていってはいけません。主導権は、あくまでも取り扱っている御社の“人”。ですので、商品・サービスの季節感に合わせて、並列しているか、もしくは少し先を行っていなければいけないのです。
改めて、「真冬ものを着て、春物を売っていませんか?」
とにかく、他の時期に比べて、春はこの見た目の違いがはっきり出るときです。自社商品・サービスと季節性のリンク、この3月の要チェックポイントです。
この記事の執筆者
山川碧子(やまかわ みどり)
株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。