話しのネタとして人に話すとき
「おお~、それはすごい!!!」
と、この日、同席していた経営者仲間3人が声を上げたのは、知る人ぞ知る予約が取れないというお店へ行ったTさんの話。
外食店が打撃を受けているというwithコロナの時代にもかかわらず、数年先まで予約が取れないというお店も存在しています。
その秘密のベールに包まれたお店に実際に行った詳細は、聞けば聞くほど、「おお~!!!」という声が上がっていました。
さすがにみんなの視点も鋭くて、ロケーションやコストパフォーマンス、その事業展開の仕方など、グルメに向けた星付き『ミシュランガイド』とは180度違った、経営者視点のコメントが次々に出てきます。
結局、そのお店の何がすごいのか?というと・・・・・・それは、「エンタテイメント性」。
話しのネタとして、人に話すことが口コミとなって広がっていくわけですが、このとき、いかにテンション高く、興奮状態(?)で行った人が周りに話せるかがポイントなのです。
指南役による味見の先にある驚き
「エンタテイメント性」と言われて思い浮かんだのが、最近、引っ越した友人宅の近くにある谷根千(谷中・根津・千駄木)のお店です。
下町エリアの古民家を改装した複合施設に入っている、塩とオリーブオイルの専門店「おしおりーぶ」。
健康志向の高まりや料理に凝る人が増えた昨今。こだわりのオリーブオイルをはじめとした油や塩などの調味料を取り扱うおしゃれなお店も数多くなりました。
それに加えて、ここがすごいのは、良い素材、美味しいだけではない、お店が提供する場での「エンタテイメント性」なのです。
店の中心のテーブルに並ぶのは、スポイトのボトルに入った液体の数々。まるで理科の実験道具のようです。このボトルの中入っているのが、オリーブオイルをはじめとしたオイル、ワインビネガーなどをお酢、その他、いろいろな調味料の数々。
それをいかに組み合わせるか(混ぜ合わせるか)で、「おお~!!!」と声が上がる味のドレッシングができてしまうのです。
これをやってくださったお店のおじさん(コンシェルジュというそうです)のおすすめの仕方が絶妙で、「とにかくこうするとおいしい!」「これもいいですよ!」「こんな味にもなります!」と、小さなスプーンを渡されて、そこにオイルを1滴、ビネガーを数滴、これに醤油やチューブの調味料を入れたり・・・・・を繰り返します。
そのたびに、「ほーら、どうです!おいしいでしょ!」という控えめな口調でありながら、自信満々な笑顔と熱心な説明に思わず引き込まれてしまいました。
結局、味見をさせてもらった組み合わせは10種類以上。1回ごとに違った味の感動を味わわせてもらえました。
友人も私もまったく買うつもりがなかったオイルやビネガーを迷わず買ってしまったのでは、このお店の「エンタテイメント性」がなせる業。対人、対顧客へのコミュニケーション力を極めると、それが一つのエンターテイメントにもなる、といえそうです。