限られた相手にだけ言うこと、見せること
いまや「中小企業」と「DX」というのは時代のキーワード。日々、どこかで目にしたり、耳にする言葉です。
この「中小企業とDX」の中枢ともいえる職場にいる友人。ある士業の資格もある彼女・Mさんのもとには、相談ごとをはじめとしていろいろな人がやって来る(ちなみにオンラインを含む)といいます。
そのMさんから聞いた経営者たちとの会話が、飾りのない本音のようで「へぇ~、なるほどねぇ」と印象的なものでした。
誰しも「相談事」というのは、その話が個人的に踏み込んだ内容であるほど、話す相手を選ぶものです。
経営者ともなると、自社の事業の経営を相談する相手というのは、限られた人、心許せる人、信用できる人など……その経営者自身のこだわる何かを満たしてくれる相手に限られるというのは、想像できることです。
Mさんは、そのポジションにいる相応の資格と経験に加え、その安心感を与える対応と気さくでありながら誠実な人柄。とくに男性経営者からは話しやすい存在でもあります。
その日、Mさんが会ったのは40代前半の男性経営者たち。打ち合わせのなかで、3人の経営者が揃って、「できない~!!!」と強く返してきたことがありました。
何ができないかーー?それは「経営相談」。つまり自分の経営については人に相談ができないというのです。
ジクジク一人考える時間の後には……
「できない!」という、その理由はというと……
「はずかしい」
「ダメ出しされるのがコワい」
「何を言われるかわからない」
「ダメな奴と思われる」etc
何と弱気な言葉ばかりが出てきて、聞いていたMさんのほうが、逆に「ええ~」と引き気味になってしまったといいます。
経営者と呼ばれるからには、その経営について人から何か言われること、指摘されることについては、とてもセンシティブな反応になるようです。
でも、この心理というのは、誰もが納得できる部分がありますよね?
この道のプロと言われる分野でも、何かしら自信が揺らぐときがあります。そのときに、すぐに人に相談しよう思う人は少なく、まずは自分一人でジクジク(いう言い方は微妙ですが……)と悩む時間をもつ、のではないでしょうか?
その後、ある程度の目途がたってから、次の段階で「人に相談」となり、この相手は厳選した人になります。
厳選した人というのも、その場面によって変わってくるわけで、「DX」については、その相手は経験豊かな年長者ばかりでなく、デジタルネイティブと呼ばれる若手世代が相談相手となることも多くなるわけです。
相談事は自分の弱みを見せること、というネガティブな意識から、自分とは違った視点で見ることといったプラスの意味合いをもたせることがポイント、でしょうか?
誰にでも相談すればいいわけではもちろんありませんが、ジクジクと一人考えるよりも、相応の人に話してしまうほうが何かとメリットがありそうです。
経営者しかり、それを大いに活用できる人が、やはり「お得」な時間を過ごしているのかも――と、Mさんとの盛り上がった午後のひとときでした。