独自の立ち位置でセカンドキャリアを進む
7月23日から開催されている東京2020オリンピック。さまざまな競技が開催されているなかで、男子サッカーの第2戦(25日)のメキシコ戦を見ました。
ご存じのように結果は、強豪メキシコを相手に日本が2-1で勝利。Jリーグの開幕当時を知る世代としては、世界で通用する日本選手の活躍ぶりに目をみはるばかりでした。
活躍した選手もさることながら、試合後のインタビュアーとして登場した元日本代表・ウッチーこと内田篤人さんに注目。
実力もルックスもキャラクターも魅力的なウッチーの登場というだけで注目度は高いわけで、ネットニュースなどでも大きな話題となっていました。
インタビュアー・ウッチーとして見てみると、やはり他の人にはマネのできない独自の立ち位置とスキルを備えて、セカンドキャリアを進んでいる姿が見えました。
1.基本スキル
2.インタビュー内容とやりとり
3.マスク越しの表情
これら3つの角度から、インタビュアー・ウッチーをチェックしてみました。
本人はいたって真面目でも笑いを誘うやりとり
1.基本スキル
とにかく聞きやすい声、活舌の良い話し方が自然にできていることに、まず驚きました。
無理にはっきり話そうという違和感もなく、選手にも視聴者にもわかりやすい質問の仕方で、それがしっかりと伝わってきていました。
選手時代のインタビュー映像はいくつも見たことがありますが、選手であった受け手としての話し方とは明らかに違っています。確固たる信念をもちながらも、話し方はや表情はゆるめの片意地をはらない雰囲気から、ここでは言葉にメリハリがあり、はっきりとした話し方に変化させていました。
ところどころに、「え~」という余分な言葉も入ってはいましたが、それが気にならないくらい前後にはメリハリがありました。
こんな聞きやすい声だったのであれば、試合中、サイドバックからの他の選手への声がけも聞こえやすかったのでは、と想像してしまいました。
2.インタビュー内容とやりとり
やはり数年前まで現役だったという選手目線とインタビュアーとしての客観性を備えた2方向から選手にダイレクトに質問できるのが強み。
勝利をして、自分のプレイスタイルを褒められることはどの選手にとってもうれしいはず。試合直後に先輩であるウッチーから、「今日のMVPをあげたい!」と言われた遠藤選手などは、勝ったうれしさとほめられたうれしさで喜びも倍増しそうです。
このあたり、自分が言うことでさらに価値がある言葉になることを知っている?――というよりは、これも自然にできているのかもしれませんね。
ウッチーの元へ監督や選手たちが寄ってきたといいますが、これもキャラクターの強み。
とくに元チームメイトであった吉田麻也選手とのやりとりは注目でした。
「生だから、ちゃんとやって!」
「(グータッチしようとする吉田選手に向かって)触っちゃダメ!」
本人はルールに従って真面目に言っているのですが、視聴者としては思わず笑ってしまうやりとり。他選手への言葉がけもウッチーだからこそが随所に見えました。
3.マスク越しの表情
一番印象的だったのが、マスク越しのウッチーの表情。
インタビューは、マスク着用が必須。――となると、選手にも視聴者にも見えるのは、マスクから出た目元から上の表情となります。今回のウッチーは、装いに合わせた黒のマスクを着用。
「目は口ほどにものを言う」と言いますが、目元に選手をねぎらう優しい表情が出ているのがとにかく印象的でした。優し気な目元がとてもいい!
男性も女性も年を重ねると目元にもシワができてくるものですが、このシワがとても魅力的に映っていたのが、このときのウッチー。もともとのキャラもありますが、こんな表情でインタビューされると選手も安心してしゃべりも弾みそうです。
歳を重ねて、シワとともにインタビューにも深みが出てくる、そんなウッチーの今後に大きな期待!です。
アスリートのセカンドキャリアが話題になりますが、ウッチーもロールモデルの一つ。オリンピック後、メダルと取った選手だけでなく、引退後のアスリートのみなさんが、それぞれ輝ける場所を見つけてほしいと心から願う2020東京オリンピックです。