頭の中の整理に否定的な言葉はいらない
「それをドリームキラー、と言うんだよ」
と、教えてくれたのは、経営者の大先輩・Sさん。
「ドリームキラー」というのは、夢ややりたいことを話したとき、「無理だよ」「そんなことできるわけがない」など、否定的なことを言う人のことをいうのだそうです。
今後の展開にまだまだ迷いがある今日この頃。そんな私に、親しい経営者とやっているというセッションを教えてくれました。経営コンサルティングにも採り入れているコーチング手法で、内容詳細は省略しますが、要は「まずは頭の中を整理することから始めましょう」というものでした。
出された質問に対して、複数の答えが必要となるのですが、私が「う~ん」とうなっていると、実際にできるできないでなく、やりたいこと、可能性があることでOK。「本当にできるのか~?」と自問自答してしまいがちですが、そんなことは関係ない。「どんどんと書いていけば良いのだよ」と促してくれます。
そこで登場したのが、この「ドリームキラー」というキーワード。ダメ出しはしないし、やる気をそぐようなことは言わないというSさんの気遣いが伝わってきます。
ベストな選択をするためには敢えてキラーになる!?
確かに、リーダーシップでもビジネスコミュニケーションでも、この「否定的なことは言わない」ということはとても大事なポイントです。とくに部下の話を聞くときは、とにかく否定的なことは言わず、ポジティブな言葉がけを意識しなければいけません。
人は、他者に相談するときには、すでに自分の答えが決まっているといいます。相談と言いながら、肯定してもらって、その背中を押してもらうために、人に話しているのです。こんなときこそ、「ドリームキラー」は最も避けたい人であり、欲しいのはやる気のでる言葉がけということになります。
こうした前提がありながら、こんな場合はどうすればよいのかーーー?と、考えたことがありました。近い友人から受けた相談事の答え。
「ドリームキラー」にはなるまい、と十分に注意をしていたのですが、「いや~それは、今ではないでしょう」「そこにお金と時間をかけて、大きく変化をするもの?」という疑問ばかりが出てくる内容だったのです。
これまでのキャリア、年齢、やりたいこと、世の中の状況や流れなどを踏まえて、「実際、どうなの?」という内容です。やる気をそぐのは良くない、かといってこの選択がベスト、ベターだとは思えない、そんなときはどうすればよいのかーー?
初めてのことをやるときなど、自分の得意分野でないとき、客観的な見方ができる友人がいます。財務畑でキャリアを積んできた数字にめちゃくちゃ強い友人が、こんなときの相談役なのですが、今回も「いかがなものか?」と思うこの件の彼女の意見を聞いてみました。
彼女の反応も「う~ん、賛成はしないかなぁ」という答え。やっぱりそうだよなぁ~。
「ドリームキラー」にはなりたくはない。しかし、何でもかんでもポジティブな方向に持っていけるかといえば、ストップをかけたほうが良いというときもある。こんなときこそ、ものは言い方一つだとはわかってはいるけれど……。
部下育てにも、子育てにも通じる、このドリームキラーにならずに、リスクも頭の片隅に入れつつ、やる気が育つ言葉がけのスキルは、まだまだ未熟であることを実感する一つの出来事でした。