時代のキーワードを「わからない」と言う驚き
「DXって、よくわからないよーー。」
各界のトップが集まるイベントに登壇した(株)ニトリホールディングスの似鳥会長の言葉です。
コロナ禍からwithコロナの時代、オフラインからオンラインへの大きく変換して、今ではこの「DX」という文字がさまざまなところで見られます。時代のキーワードといえるようなこの「DX」。ビジネスパーソンであれば、すでに「DX」が何かという予備知識がある方が大半でしょう。
ここで改めて、自己確認の意味も込めて確認してみるとーーー
経済産業省によるデジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)の定義は、以下となっています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や 社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」。
現在は、活字媒体を見ると、必ずと言っていいほど大きく見出しに出ているこのアルファベット2文字。時代のキーワードといえる「DX」を、「よくわからない」と言った日本を代表する企業トップに、新鮮な驚きを覚えました。
横文字が並ぶとわからない!?
普通の人は「わからない」けど、「わかるふり」をしてしまいがち。
それに対して、世界の名だたるトップが集まる場で、日本を代表する経営者として登壇したとき、時代のキーワードを、「それはよくわからない」と自分で口にできる似鳥会長に、潔ささえ感じてしまいました。
言わずと知られている似鳥会長のニトリHDは、以前から物流や倉庫に大規模な投資をしており、社内に製造・物流・小売り・商社という機能が揃っています。そのため、コロナ禍でもその投資した物流や倉庫のオペレーションが大きな武器になっていました。
さらに消費者は1カ所で買い物を済ませたいという傾向が強く、ECと実店舗を使い分けているなか、アプリ経由の打ち上げが2020年は約700憶円となり、今後1000憶円規模になる見通しがたったとも言っています。
こんなレベルの企業ですから、似鳥会長の「わからない」を、普通の人の言う「わからない」と、当然ながら同じ意味だとは思ってはいけません。「わかった」に行く途中過程であり、それを自らが言うときは、凡人が想像するスケールではない、ということなのでしょう。
思い返してみると、はじめに「DX」という単語が出て、モデレーターの方が「デジタルトランスフォーメーションですね」と言ったとき、似鳥会長は「横文字が並ぶとわかんないよぉ」というコメントがありました。
確かに、横文字(カタカナ)ではなく、平仮名・漢字の3~4文字であれば、もう少しわかりやすいのかもしれませんね。