■黒スーツが基本になったという時代の流れ
「黒ばっかりーー、ですね。」
--というのは、数日前、新卒採用面接に同席した方の言葉。面接に来た学生のスーツの色を聞いたときの答えです。10年近く前、企業採用担当者から、就職活動で学生が着ているスーツで一番多い色が「黒」と聞いて、そのときは、大変驚いたものですが、今は基本の色が「黒」となっているようです。
「就職活動のスーツの色」と調べると、某雑誌のアドバイスには、「無難な黒を選ぼう」「冠婚葬祭にも使えるので便利」といった言葉が並んでいます。
本来、黒のスーツは、「冠婚葬祭にも使える」のではなく、「喪に服す」色。そのため、ビジネスシーンではふさわしい色ではなく、10年前には「黒はビジネスシーンではさけるべき色」と、お話しをしていました。
(*詳しくは、専門的な視点でこちらにありますので、ご興味のある方はご覧ください)
「黒のリクルートスーツに物申す!」(2012.10.31)
しかし、現在は「黒はビジネスでは着てはいけない色」とは、言えなくなっています。なぜならば、ビジネスシーンの服装ルールは、基本はありながらも時代と共に変化していくものだから、です。
トップとして、人の上に立つ立場の方であれば、ビジネスでの変化には敏感であるべきで、それはビジネスシーンでの装いの部分も知っておく必要があります。ここでは「流行を知っていてください」と言っているのではなく、「ビジネスシーンでの変化を知っておいてください」という意味です。
■あえて着る、あえて選ぶ、年代によって意味が変わる
現在、黒のスーツは、就活中の学生や新入社員だけではなく、40代以上の企業トップや経営層でも好む人がいるのは確かです。
40代以上であれば、あえて「黒」着る、あえて「黒」を選ぶ、そんな人だけが着るべき色となります。実際にこだわりをもって着用している方も確かにいます。若年層の「みんなが着ていて無難だから」「他の色を着ると目立つから」ではなく、「自分は黒のスーツを着る」というこだわりがあるならば問題ありません。経営層ならば、一般的に落ち着いて見えるのは紺色やグレーですが、あえて黒を選ぶ勇気。それほど強い、鋭利な色なのですから。
日本ではその線引きや許容度が緩いように感じますが、欧米では黒は葬式の色、という認識がまだまだあります。もしくは、トレンド色の強いブランドを好む人が着るスーツの色、という印象もあります。グローバル展開をしている企業は、やはり海外で着用するときには、そのあたりの配慮も必要です。
こだわって「黒スーツ」を着ているのか。
もしくは、無難だと思って「黒スーツ」を着ているのか。
「黒がいいんだ」「黒はダメなんだ」ではなく、時代の流れを知ることが重要です。そこで、あえて自分はどうするか?
たかがスーツの色、されど視覚要素を大きく左右するのもスーツ、なのですから。
この記事の執筆者
山川碧子(やまかわ みどり)
株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。