■相手からされたほうは大変イヤな感じ
「お金、払った覚えがないんですけどーー」。
そのひと言に対して、相手の男性からの無意識な反応が、私をイラっとさせました。でも、この反応は、自分でも無意識にやっていそうな反応。改めてやられたほうになってみると、これは大変不愉快になる反応だということに改めて気付きました。
場所は病院。相手は事務の30歳前後の男性。頼んでおいた書類を受け取りに行ったときのことです。
書類を受け取ったときに、私が「お会計は?」と聞いたところ、書類は前払いとのこと。数カ月前に依頼したため、記憶があいまいではありますが、払った記憶がありません。それで出たのが、「お金、払った覚えがないんですけどーー」。
言い終わるか終わらないかというとき、出たのが、視線を斜め下に落としながらの相手の“フフッ”という笑い。この笑い、されたほうは大変イヤな感じを受けます。ですが、“フフッ”とした本人は、全く意に介していない様子です。
この話しながら、途中に入る“フフッ”という笑い。まるで「そんなわけないだろ」「忘れてんじゃないの」という言葉の代わりの“フフッ”と聞こえて、なんだかばかにされているような気にさえなります。事務側からすれば、病院の書類は未払いでは作成するわけない、という自信もあるでしょうから、そんなニュアンスは含まれているのかもしれませんが・・・。
突然、“フフッ”が入ると、印象って大きく変わるーーーと実感した瞬間です。
■したつもりはなくてもマイクがひろってしまったことも
思い出してみると、仕事でも同様なことがありました。クライアントの社長が、質問を受ける場面。ある賃金の質問に対して、“フフッ”と言ってから答えたとき、大変印象が良くないと指摘しました。このときは、「きた、きた、聞かれると思ったよ」という気持ちが込められた“フフッ”でした。本人は笑ったつもりも、“フフッ”としたつもりもないけれど、マイクは正直に拾ってしまっていました。全く無意識の反応だったようです。
「鼻で笑う」という言葉がありますが、『大辞林』(三省堂)によると、その意味は「相手を見下して“ふん”と笑う。鼻先で笑う。」となっています。ちょっと意地悪な人が、少し鼻先を上に向けて“ふん”言うならば、ばかにされているのが伝わりやすいものです。この場合は、意図的に伝えようとする一面もあるはずです。
一方、今まで礼儀正しく話していた人から漏れる、無意識の“フフッ”という笑い(のような仕草?)。これは、相手に思いもよらない悪い印象を与えてしまいます。
上を向いての“ふん”と、下を向いての“フフッ”。逆方向を見ていても、相手への伝わり方は大きく差がないようです。自分の無意識に今一度、気を付けたいものですね。
この記事の執筆者
山川碧子(やまかわ みどり)
株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。