平常時にこそ対策を、社長個人としてのリスクについて

COLUMN /

blog ひと言 No.35
■冷静なときにはわかるはずのことを見逃す

 「実際になってみないと、わからないものーー。」

 先日、ある株主総会で、企業のリスク対策をお得意とするW社長とゆっくりお話しする機会がありました。リスクマネジメント、リスクヘッジなど、非常時への対策は企業にとって必須のことですが、実際にはなかなか、平常時にはその必要性はわからないものだというお話をしてくださいました。

 確かに、首都直下型地震がいつ来てもおかしくないという状況ですが、その対策が「万全だ!」と言い切れるご家庭がどれくらいあるでしょうか?

 我が家も含めてですが、危機感はあっても万全と言い切れるご家庭は少ないのが現実。企業と家庭は違うとはいえ、いつ来るともわからないリスクに対して、お金と時間をかけて事前に万全な準備をすることの難しさは、十分に理解できます。

 最初からリスクとわかっていることへの対策はできても、平常には普通のことが、ある日突然、大きなリスクに変わっていく数々の実例も多くあるといいます。

 その一例として、とても印象的だったのが、食品関連業種ではない企業が口にするものを発売したときの増大するリスクについて。もともと食品関連を主事業としているのであれば、リスク意識も対策も神経質になっている企業が多いはず。しかしながら、予想しないヒットから関連商品を発売、そのときの流行語が商品とマッチしたなど、さまざまな可能性が考えられます。

 実際にリスク知識がないところへ、流れで入ってしまったことによる危険を改めて聞くと、「冷静なときにはわかるはずのことを見逃す」という言葉に深く納得します。

■企業としてだけでなく社長個人のリスク

 企業の事業リスクについては、これは専門家からの視点での万全な対策が必要です。こちらは相応に対策を整えている企業が多いかと思います。それに対して、ここで改めて考えていただきたいのは、「社長個人としてのリスク」についてです。

 それは事業規模に関わらず、企業のトップであれば必須の対策ですが、リスクへの意識と対策は、大丈夫ですか?

 ご自身の健康リスクはその筆頭にあげられますが、そのほか、事故リスク、情報リスク、交友・交遊リスクetc・・・個人的なリスクとして考えてもいろいろと出てきます。例えるならば、SNSでの個人的なやりとりが思いがけない展開になっていったり、急いでいて書類を紙袋に入れて持ち歩いたことでトラブルが生まれたり、ちょっとしたことが思わず事態を招きかねません。個人情報から痴漢冤罪まで、普段から相当気を遣っているなぁと感じる方から、無防備だなぁと感じる方まで、その意識レベルと具体的な対策は本当にさまざまです。

 最近は、タレントの未成年との飲酒が謹慎騒動になったりしていますが、タレント以上に、社長はリスクにあふれています。後々に後悔してもはじまりません。ご自身の最大のリスクは何でしょうか?

 改めて、社長はリスクにあふれているーーこれを心しておきましょう。


この記事の執筆者

yamakawa midori
山川碧子(やまかわ みどり)

株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。