【実例】今の自分はいくらのスーツを着るべきか?

COLUMN /

No.73_top_パターン2

お仕立券は未返却になるという事実

 「ええーー!!!」という声とともに、反感、怒りに近い感情が多くの人にわいたはずです。

 連日、ニュースをにぎわせている関西電力の役員による金品受領問題。億単位になる役員がいるという受領額の大きさに驚愕したのは私だけではないでしょう。

 新聞記事(日経新聞2019年10月4日付)に、受領した6人の役員名、総額と返却額の表がありました。目に留まったのは、一番右端の列「未返却額」の項目です。

 そこに並んでいるのは、各人の未返却額。「100万円(スーツ仕立券)」「1000万円(スーツ仕立券)」「800万円(スーツ仕立券)」」「310万円(現金70万円やスーツ仕立券など)」と並んでいます。

 つまり、仕立券をもらった役員は、全員スーツを作って、使ってしまったということです。

 会長の会見でのコメントで、「もらいたいと思った者は誰1人いません。」とありましたが、現金は使わないけれど、お仕立券でスーツは作ってしまう。50万円のスーツお仕立券を使って、1回でなく何度も作ってしまっているのです。

 一般的に考えると、50万円のスーツは超高級なフル・オーダーメイドの1着。細部までその人のすべてに合わせて作るため、時間も費用も手間もかかる選ばれた人のためのスーツです。

 フル・オーダースーツを作る人は、その良さを熟知し、自分のこだわりがあり、そのためならば高額を自らが支払ってもよい、支払い能力をお持ちの人でなければいけません。価格だけでなく、その高級感と良さを納得できている方でなければ、着る意味も資格もないのです。

 それにもかかわらず、高級品を作っておきながら、会長自らが「スーツの値段がよくわからないこともあって、これは使いました」という回答には、沈黙しかありません…………。

 

自分の着ているスーツの値段はわかっているか?

 「今はオーダーも安い」と言う人もいますが、それは体型に合わせて、ある程度決まったパターンの中から近いものを選んで調整していくパターン・オーダーです。一般の方が「オーダースーツ」として購入しているのはこちらで、最近では2~3万から商品もありますし、ネットでも簡単にオーダーできるシステムもあります。

 同じ「オーダースーツ」と呼ばれていても、パターン・オーダーとフル・オーダーその工程は全く違うものであり、同じレベルで良し悪しを語れるものではありません。

 確かに、安くオーダースーツを作ることは可能ですが、「今の自分の立場やポジションであれば、どれくらいのスーツを着ればよいのか?」、という疑問をもっている方も少なくありません。そのとき、やはりスーツの価格は、判断の大きな目安となります。

 「今の自分は、1着いくらのスーツを着るべきか――?」

 参考に目安として・・・・・・

 ・日常的に着用するものであれば、年収の1.0~1.2%程度の価格

 ・ここぞというときの特別な1着であれば、年収の2.5%~が目安

 年収1000万円の方であれば・・・・・・

 ・日常的に着用するスーツは、10万円~12万円程度 

 ・特別なときに着用するスーツは、25万円~

 このあたりが、クライアント様も納得の数字ですが、さて、みなさんの感覚的にはいかがでしょうか? くれぐれも自分の着ているスーツの価格を「知らないーー」と公の場では言わないように、ご注意くださいね。

 

No73_footerimage


この記事の執筆者

yamakawa midori
山川碧子(やまかわ みどり)

株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。