今まではなかった女性だけ、という機会
ここ最近、企業の経営層向けのコンサルティングやトレーニングをしていて思うのは、対象となる方が「女性」が多くなったということ。
国別の男女格差の大きさを比較した「ジェンダーギャップ指数2021」(世界経済フォーラムWEF)によると、日本は調査対象となった世界156カ国の120位(前年121位)。主要7カ国(G7)では引き続き最下位。
世界的に見ると相変わらず低い順位であり、多くの問題があることは確かです。
ですが、目の前の案件の変化を見ていると、これまで上場企業向けでは男性ばかりが並んでいたトレーニングの対象者でしたが、今年に入って女性だけ、女性のみ、という機会が出てきたのは目新しいことです。
こうした傾向は、外資系企業やベンチャー系に寄っている部分もあるかもしれませんが、ジェンダーギャップを埋めようと女性活用に躍起になっている企業というよりも、性別、国籍を問わず、ダイバーシティという多様性が日常に溶け込んでいる企業だけにいえることかもしれません。
そういえば、クライアント先の理系バリバリの化学系研究所は、男女比率が女性の方が多いと聞いて、私の方が驚いたこともありました。当然、グループ会社全体で見ると、トップも執行役員も女性が並んでいました。
要はやっているところはやっていて、女性だ、男性だ、と言っていること自体が「古い!」と言われてしまいそうな雰囲気。とはいえ、政治の世界や日本の大手企業と言われる日経株価平均を構成するような企業では、ジェンダーギャップ指数の順位そのものというのが現状なのでしょう。
成功法則もコロナ禍で大きく変化
実際に、企業が求めている女性エグゼクティブ像にも変化が現れていることをトレーニングを通じて実感します。
イメージコンサルティングの本場・アメリカでは、40年以上前にジョン・T・モロイが『Dress for Succsess』というビジネスで成功するための服装についての本を出版しました。その後、『New The Women’s Dress for Success』という女性版が発売され、働く女性のバイブルにもなりました。
これらは実際に現場の調査や実験に基づいた内容で、「稼げる服装」「信頼される服装」を定義を明確にしており、大変説得力のある内容にはなっています。
でも、改めて思うのは、時代は大きく変わったということ。
ひと言で言ってしまえば、今回のコロナ禍によっての変化は、当然ながら服装にも表れているのは明らかです。雑誌自体の廃刊が続いている現在ですが、その記事を見ても、ほぼ雑誌には、スーツや前述のような服装は少しも出ていません。
リモートワーク、在宅ワークが日常化した現在、ハレとケ、フォーマルとカジュアルのメリハリをつけることは重要ですが、40年近く前の「稼げる服装」が求められるシーンは明らかに少なくなっているのも事実です。
自社の発信者として、バリバリのキャリア像を前面に出すよりも、ダイバーシティの象徴のような存在として、どういう服装が必要なのか?
女性は自由度が高い分、そのあたりが難しいところです。その分、アレンジのし甲斐もあるというものです。時代の流れを見ると、もう「稼げる服装」という言い方自体に無理がある!?ともいえそうですね。