■受けてが良い感情を持たない言い回し
「メールは感情が表れやすいツールである」と言われます。
そのため、興奮状態で書いたメールは感情的になりやすく、文章にそのまま表れてしまうので、時間をおいてから返信するほうが良いーー。広く一般的に知られていることですが、実際に自分の経験からも感覚的にも、その「時間をおく必要性」を痛感しています。
ここ数日、仕事の依頼のやりとりをメールで何件かしました。メールの受け手として、極端な2パターンがありました。1つは不愉快な感情がわいてくるメール。もう1つはお断りでありながら好印象を残すメール、でした。
不思議なものですが、メールは同じ書体の文字が並んでいるだけなのに、受け手にとっては感情がこもったものになること。一応、ビジネス上のことなので、一般常識を踏まえたうえでのやりとりとなりますが、型どおりすぎても温かみがなく、親しすぎても違和感が出てしまいます。
今回、改めて感じたのは、メールのやりとりのなかでも、受け手があまり良い感情をもたない言い回し、書き方のパターンがあるということ。
「――――はずですが。」
一文の最後が、「――が。」で終わる文章。相手の意向と自分の思いが違うときに、「こうだったはず」という意味合いで書く場合が多いように感じますが、これは受け手とすると、あまり気分がよろしくない。
もし、その後に「―――のはずですが、違いますか?」「―――のはずですが、どうでしょうか?」となっていれば、その印象は大きく違います。「―――はずですが。」で終わる言い切り型では、先のことを話そうという気が一気にうせてしまいます。
自分自身でも無意識に「―――ですが。」という書き方をしていないか? 特別な感情も入れずに書いている文章が、相手にネガティブな感情を与えてしまうこともある、ということです。ビジネスメールでは、今後、「――ですが。」という書き方は控えるようにすること決意しました。
■断りのメールの書き方次第で好印象に
対照的に、こちらからの依頼への断りのメールの書き方が、とても好印象だった方もいました。特別ていねいな言葉を使っているわけでなく、とても自然な返しなのですが、ぜひ、次もまた声をかけさせていただきたい、と感じるものでした。
敢えて、その理由が何かをじっくり見てみると、文中に希望を感じさせる言い方、書き方が多いことに気付かされます。「とても興味はある」「時期を改めてお受けしたい」と、特別ていねいでもないのですが、先を感じさせるようなニュアンスが含まれているのです。
一方は、ばっさり切り型。もう一方は、余韻残し型、とでも言えばいいのでしょうか。同じ「断りのメール」1つでも、大きな違いがあります。
「こんな言い方はないだろう」というのは、最近は直接の口頭でのやりとりよりも、メールの文面でのやりとりのほうかもしれません。メールひとつで、信頼度が高まりもすれば、付き合いはこれまでと、いうことにもなります。
感情やその人そのものが出やすいのがメールの文章です。最近ではSNSの発信内容などには顕著にあらわれます。丁寧な言葉づかいをすればいいわけではありません。受け手として感じたネガティブな印象を、自分が発信するときは感じさせないような気遣いをする、それだけでも違いが出てくるはずです。
この記事の執筆者
山川碧子(やまかわ みどり)
株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。