バイトが集まる人気カフェを経営者視点で見てみると

COLUMN /

blog ひと言 No.57

■経営者視点で見ると・・・あの量は見逃せない!

 相変わらず、人出不足に悩まされているという話はよく聞きます。こんな時代でも、人気があるところはあるようで、人気の某カフェチェーン(〇〇バ)では、バイト採用でも競争率が非常に高いといいます。ここでは採用後のトレーニング制度が充実していて、少し前までは就職するときにも、このバイト経験が有利にはたらくという話しもありました。

 そんなカフェで、週末に友人と待ち合わせをしていた時の話。

 「前から気になっていたけれど、あれはすごい量になるはずーー。

 こう友人が言っているのは、カフェラテやフラペチーノを作った残りのこと。レジでオーダーをして、その並びにあるマシーンで、1杯ずつ牛乳をスチームしたり、氷を砕いたりして、オーダーされたものを作るわけですが、見ていると、カップに入れた後の残量がそれなりに出ていて、毎回、それは廃棄している様子です。

 友人もクリニック経営者であるため、その廃棄している余分な量が気になってしようがないらしいのです。自分のクリニックでは、普段から従業員が水を出しっぱなしで別の作業をしているのも注意をしている、というくらいですから、経営者視点で見ると、その廃棄量が相当に気になるらしい。確かに、オーダーを待っているときだけでも、作ったドリンクをカップに注いだ後、まだ残量があったものが多かったように感じます。

 「これは余る前提の量なのかーー?」

 オーダーにもよりますが、人によってもその残量が違うようでもあります。

 マニュアルがあるなかで、違いで出てくるのはなぜなのか???

 そう言われると、私も気になってくるものです。

■おいしければ、いいんですーー!?

 カフェメニューの残量とは大きく違いますが、少し前、抗がん剤の廃棄処分量がニュースになっていました。高価な抗がん剤でもその使用料が1瓶に対してわずかということもあるため、残量が出るケースが多いこと。廃棄処分したの残薬量は、年間700憶円以上にもなるため、年々、医療費が積みあがっていくなかでのこのムダなコストが問題視されていました。

 甘いフラペチーノと抗がん剤の比較は、あまりにもかけ離れた世界のことに思えますが、使えるもの、食べられるものを廃棄処分してしまうという状況は同じとは言えないまでも、近いものがあるような気がします。

 人気バイトだけあり、周りでもご子息がバイトをしているという人が少なくありません。あるとき、その気になっていた残量廃棄について、現場を知るご子息に聞いてみるとーーー。

 「決まった量をしっかり守れば、カップ1杯ちょうどの量になるはず」との答え。

 とはいえ、氷を砕くフラペチーノは、量がきちんと合っていればジャストになるけれど、牛乳をスチームするカフェラテの場合は、そのスチームする時間の微妙な違いによって量に差がでてしまうのは仕方がない、とのことでした。マニュアル通りの量を守るのが基本ではあるけれど、忙しいときなどは、ぴったりでなく多めだったり、少なめだったりという差が出てしまう、とも言っていました。

 でも、間違いなく言えるのは、カップ1杯ぴったりの量で作れる人は、バイトとしてのレベルが高い!有能な人材とのことです。これからはドリンクを受け取るのを待つ間、ひそかに残量チェックをしてしまいそうです。

 こんなやりとりをするなかで、経営視点で一番気になっていたのは、 実際に現場で「余らせてしまって、怒られないのか?」ということ。それに対する答えは、「やっぱり」であり、「意外」でもありました。

 「おいしければ、いいんですーー。」

 「お客様においしいものが渡せれば、少しムダにしたことを怒られることはありません。」

 あれだけのチェーン展開をしていて、徹底したマニュアルと教育制度がありながら、コスト管理に大きな影響を与えるはずのこの部分には、大きな許容をしていることが意外でもあり、その一方であの雰囲気作りのためには、この部分は大目に見ていることに納得感もあります。

 決められてことに対して、こんな“あそび”の部分をもたせること。それが求人に対する応募者からの人気であり、店づくりに影響しているのでしょう。〇〇バのこうした話を聞きましたが、実際に経営者視点で見ると、みなさん、どう判断されますか?


この記事の執筆者

yamakawa midori
山川碧子(やまかわ みどり)

株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。