「若き戦士たち」に必要なのは+アルファの答え
2020年の最初の週末、2月1日は中学受験の本番の日。
中学受験を経験したご家庭であれば、この日がどんなに大変な1日かを経験的に思い出すのではないでしょうか。過ぎてしまえば、思い出話ですが、母親以上に父親が熱心というご家庭も多く、親子共々なかなかハードな経験です。
そんなことを思いながら、新聞の日曜版(日経新聞2020年2月2日)を見ていると、個人的にとてもおもしろいコラムがありました。やはりご自身も息子さんの中学受験を経験された作家・大崎善生氏の「若き戦士たち」というタイトルのコラム記事。
「最近ときどきあるのだが、私の小説が受験問題に出され、それがテキストや応用問題になる。(中略)困るのは息子が楽しそうに私に出題してくるのだ。半分は当たらない。」
「このときの作者はどう思っていたかーー?」という問題が出題されているのだけれど、当の作者の気持ちとは違うものが正解になっていたりするらしい。
でも、実際に自分の父親に、こんなことを直接聞けることができる、恵まれた環境(!?)のこの息子さんは、本当のことを聞いて裏の裏を読むようにならないのかなぁ~とか、国語の筆記試験の採点をする先生は本当に大変だなぁ~とか、これまでまったく考えたことのなかった視点での発想が出てきます。
アレンジを入れる、個性を生かすことが正解か?
結局、中学受験、国語のテストの回答で何が言いたいかというと……、小説を書いた作家の気持ちと、問題を作った出題者の気持ちは、同じでないーー。つまり、テストの回答用であるということ。作者の思いではなく、論理的、テクニカル的に文章から見つけられることといってもよいかもしれません。
最近、コンサルティングをしていて感じることですが、確かに「正解」とされることはあります。ですが、この人この「正解」をやるよりも、この人なりのアレンジ、個性を生かした「正解」とは少し違った答えのほうが、ずっと実践的だったりするのではないか、と感じることがあります。
これを国語のテスト問題に例えると、模範解答でなく、作者の思いを重要視するということになるのでしょうか。現実的にこれでは点数アップはできないのですが………。
実際は、「いい」「悪い」をはっきり言わないと、迷いをうむ結果となるので、「OK」「NG」は明確にするようにはしています。その一方で、あまりマニュアル通りにしてしまうのも、いかがなものか、と感じるようになったのも確かです。
事業スタート時には、あそびのないカッチカチの正解だけをお伝えしていましたが、それから10年以上が経って、見る目も肥えて時代も変化をしてきました。
今は多様性の時代、それぞれの個性と自由度を活かすほうが、明らかに良い回答が出てくるのではないか、と期待したいところです。