雰囲気や存在感は伝わらないものか?
存在感がある、雰囲気がある、といわれる人がいます。会ったときに、「ただ者じゃない」と思わせる人もいます。
それは、その人に秘められた並外れたものが、外見や話し方、立ち居振る舞いなどの要素が重なり合って出てくる独特のものです。
ですがこれは、実際に会ったときの印象。オンラインが一般化した今、オンラインを通して、「ただ者じゃない」と感じさせるのは、なかなかできることではありません。
オンラインでの自己演出のHow toがいろいろと出てきていますが、こうした存在感や雰囲気といったものは、オンライン上では伝わりにくいといわれます。
簡単にまねができないから、希少価値があるのですから、もし、『存在感を出すための自己演出法 オンライン編』の本が発売されたとしても、それは小手先のテクニックの一覧であり、本当に存在感を感じさせることができるかは疑問です。
「オンラインでの存在感」について、いろいろと考えていると、ある創業社長のことが思い浮かびました。
「何を言っているかわからない」にも関わらず……
私がその方を初めて見たのは、株主総会の動画でした。仕事としてご依頼を受けたのは、他の経営層の方が対象でしたが、短時間だけしか見ていないにも関わらず、この創業社長のインパクトは相当なものがありました。
はっきり言うと、話し方も立ち居振る舞いも、イメージコンサルタントの観点から言うと、多くの問題点がありました。例えば、話し方。「何を言っているかわからない……」という本当に基本中の基本のような指摘をせざるをえない話し方であり、スピードや間の取り方に配慮する前段階というレベルです。
その他にも問題は多々とあるのですが、現場にいた人だけでなく、後日、その録画を見た関係者からも、「何言っているかわからないけど、存在感はあるよね」という言葉が何人からも出てきます。そして、それにみんなうなずいているのです。
これは数年前のことですが、今のオンラインの状況に置き換えてみると、オンラインだから雰囲気や存在感を出すことはできない、とは言い切れないことになります。
私が見たのは、TV収録のような高品質のものでもなく、社員がビデオで録画したレベルのものですので、zoom画面と大差ないクオリティです。
この創業社長がここまで存在感を出しているのは何か?
ひと言でいうと「迫力」。視線というよりも眼力といったほうがふさわしい鋭い視線。何を言っているかもわかりにくいけれども、その重厚感のある話し方。それは一代で築き上げた世界をもつ自信とワンマンともいわれる強いリーダーシップの表れといえそうです。
オンライン上だけで存在感を出すのは、付刃のテクニックで近づけてもなかなかむずかしいものです。リアルで存在感のある人、その人がオンライン上でも存在感が出る、という言い方がふさわしいのかもしれません。
オンライン越しの感じさせる存在感の秘密、今後のさらなる課題としてリサーチと分析をしていきたいテーマです。