■自分なりに原因を分析している人とそうでない人
「自分は、印象が良くない――。」
と、ご自身のことを言う方がいます。名刺交換をして私の仕事内容を知ったとき、セミナーの終了後に質問にきたときなど、いろいろなパターンが過去にありました。
「印象が良くない」「悪い」、と自分でいう人には、大きく分けて2タイプいます。
まず、具体的に「不愛想だから」「目つきが良くないから」「無口だから」など、ご自分なりの原因を分析しているタイプ。こちらはそのポイントがほぼ的を得ていて、それだけとはいえませんが、気を付けることで大きく改善する期待がもてます。
例えば、「不愛想だからーー」という人は、表情があまり変わらないため無表情に見えることが多く、口の動きも小さいため、声もはっきりしないーーと、1つのポイントから負の連鎖が起こっている。原因がわかっている分、ご本人なりに気を付けているのだけど、完璧にまではなっていない、という段階。できれば良くなりたい、という思いは伝わってきます。
もう一つのタイプは、そもそもビジネスでの人の印象に重きを置いていないタイプ。「印象が良くない」「悪い」と言いながら、悪いことをあまり気にしていない様子。言い方を変えれば、「悪い」と言われるのは心外ではあるけれど、それを良くしようとまでは思わない。このタイプは、印象とは「服装」とイコールだと思っている人が多いように感じます。
■服装を“決める“は、派手で目立つことではない
先日もある場所で、「そんなに服装を決めていたら、浮いてしまう」という発言をされた方がいました。服装をきちんとする、と言っても、服装を“決める”とは言っていないのですが・・・・・・(と、思わずつぶやきそうになってしまいました)。
まず、ここで間違えているのは、印象が服装だけで決まると思っていること、服装が決まっている、イコール派手で目立つと解釈していることです。
これは明らかに、間違え。
人間は目に見えること(視覚的要素)で、物事の8割以上を判断するといわれますので、見た目の象徴である服装には気を付けるべきです。ですが、目に見えるのは服装や髪型だけではありません。その人の眉間のシワや不機嫌な表情、貧乏ゆすりや落着きのない動き、それらすべてが目から入ってくる情報です。服装だけの問題ではないのです。
服装だけで判断されるという思い込みから、「周りから浮いてしまうから」「見かけが良すぎても、お客さんがひいちゃうから」という言葉を聞いたこともあります。
清潔感のあるビジネスに合った服装であれば、周りから“浮く”はずなどありません。さらに、俳優や女優のような人並みはずれた美男美女でもなければ、一般の方の見た目が良くても、顧客から喜ばれることはあっても敬遠されるということは、これこそ絶対にありません。
「印象が悪くても気にしない」という方々の言い分を聞いていると、気遣いをすることを増やすことが面倒だと思っているのか、結局は打開策が自分自身でわからないだけのように見えます。
ビジネスでトップの印象が企業イメージに大きく影響を与え、それは業績にまで影響するーー過去の事例を見ると、これは現実的なことです。とはいえ、すべての方がこうしたことを理解して納得できることだとは考えていません。
自分のビジネスで必要だと考える方には必要なもの。その価値がないと考える人には、まったく必要のないもの、そうとしか言えません。何事も二極化がはっきりしている時代です。ビジネスにおける「印象」の重要性への理解は、両極端だと感じています。
企業の成長実現はトップ次第であること、そして、そのトップの印象が大きく成長を左右すること。ご自身が理解して納得できてこそ、その効果が表れるものなのです。
この記事の執筆者
山川碧子(やまかわ みどり)
株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。