「勝負ネクタイ」と言うのは中高年の証?

COLUMN /

no.200

■自分をその気にされる強気のアイテム

 自分で「勝負ネクタイ!」という1本を持っていますか?

 ある社長は、「大きな案件を取るときは必ず赤のこのネクタイ」と言えば、 また、違う社長は、「大事なときはコーポレートカラーのこの1本」と言います。

 過去の成功体験のときつけていたものが、「また、成功したい!」と強く思うときに同じ1本を選ぶ。思い入れが強いから成功確率が高まるので、「このネクタイをつけていれば勝てる!」と揺るがない自信となる。

 「ネクタイ」が先か、仕事の内容と自信が先かといえば、後者でしょうが、自分をその気にさせるアイテムを1つ持っているというのは大きな強みです。

 ビジネスのカジュアル化とコロナによる在宅勤務の影響で、スーツを着る機会もネクタイを締める機会も大きく減りました。

 さらに温暖化の影響も大きく、ビジネスカジュアル、ノーネクタイを推奨する時期は、今後、長くなることはあっても短くなることはなさそうです。

 と言いながらも、重要な公の場に立つときはスーツ&ネクタイというスタイルも根強く、日本のビジネスシーンで一切なくなるということはないとは思われます

 

■父の日にはネクタイをプレゼントは今や昔

 ふと考えてみると、「勝負ネクタイ」という言葉を聞いたのは、若くても40代後半の社長たちから。まずは、この「勝負ネクタイ」というのはたくさんあるネクタイの中から、とっておきの1本!という感覚です。

 その昔、父の日のプレゼントといえばネクタイが代名詞でしたが、それも過去の話。ネクタイについては、以下のような数字が出ています。

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 バブル期1988年のネクタイの流通量は年間5620万本。その後、需要が少なくなり2007年には1000万本を割り込み、直近の2019年は1730万本となり、ピーク時から約70%の減少。(東京ネクタイ協会組合「日本におけるネクタイ生産調査」より) 

 東京都区内(特別区部)のネクタイ1本の平均価格は、2000年が5233円だったが、安価な商品が市場に流入し、2020年は3490円にまで落ち込んでいる。(総務省「小物物価統計調査」より)

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  周りの20代に聞いてみると、手持ちのネクタイの本数は想像以上に少なく、2~3本という人もいます。クールビズに在宅勤務、ノーネクタイ推奨・・・経済的に買えないのではなく、オフィシャルにも個人的にも「良し」とされるスタイルがネクタイから離れていることは否めません。

  今まで「勝負ネクタイ」といえば、何本もあるネクタイからの厳選した1本。でも、こんな感覚が通用するのも中高年層だけかも。

 まずはつける機会が少ないとくに若年層は「持っているのは勝負ネクタイのみ!」「それ以外買わない」という人もいそうです。

 「勝負ネクタイ」という位置づけがどうのこうのということ自体、若者にはわからない感覚となるーー? ビジネスシーンの移り変わりを「勝負ネクタイ」に垣間見ました。


この記事の執筆者

yamakawa midori
山川碧子(やまかわ みどり)

株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。