「わかっている」けど「できない」を変化させた腹おち体験とは?

COLUMN /

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 わかっています、知ってますが、できませんーー。

 「そうですよねーー。」「わかりますーー。」と、落ち着いた声で返事をするT社長。

 大きな登壇の場を控えたT社長へのコンサルティング&トレーニングをしていたときのやりとりです。初めてのご依頼でしたが、周りの方から真面目な方だという評判通り、華やかさがありながら、実際は堅実で勉強熱心なことが伝わってくる方でした。

 勉強熱心な分、知識も豊富です。人前で話すときには、こうだという理想像はしっかりとイメージされている様子。ですが、実際にやってみると、ご本人は意識していない表情のクセが知らない間に出てしまいます。具体的に言うと、落着きのない視線の動きと、片方の口元を動かすクセ。

 「気付かなかった」「知らなかった」でなく、「わかっています」「知っています」、でも「できません」というパターンです。

 クセはなかなか直らないと思うかもしれませんが、そうとも言い切れません。これまでのパターンを見ると、指摘するとその頻度が少なくなる、出なくなることも少なくありません。

 しかし、わかっているのだけど、どうしても無意識に出てしまう顔や体の動きがある、それがなかなか直らないというパターンもあります。

 

受け入れられる言い方、無理のない要求

 限られた時間のなかで、どんなレクチャーの仕方が効果的だろうかーー?と、考えを巡らせているとき、ふと自分自身のある経験とピタリと重なることがありました。

 「わかっているのに、わかっているのに、できない・・・・・・」。

 これは、私でいうならば、Yoga(ヨガ)の先生から、言われていることとまったく一緒なのです。

 数年前から趣味の一つとして始めたYogaですが、今では私にとってはなくてはならないものとなりました。心身の健康維持に欠かせない、自分の「平常心」を維持するにこれほど効果的なものはないと感じています。多くの経営者の方が、Yogaや瞑想をやっているという意味が、今は心から理解できます。

 週に一度はスタジオに行っていますが、そのとき、先生から言われていることが、まさに私がT社長に言っていることそのものなのです。わかっている、頭では理解している、だけど、できていない状態です。

 T社長の立ち振る舞いの場合は、落着きのない視線の動きと、片方の口元を動かすクセ。私のYogaの場合は、肩に入るいらない力と、体の軸が右に傾くクセ。

 わかっている、頭では理解しているのだけど、やっているつもりなのだけど、第三者から見るとできていないT社長の立ち居振る舞いと私のYoga。

 何とも言えない共通点が見つかったことで、ご本人のモヤモヤ感を感じる状況が自分ごととして理解できた気がします。その当事者として、受け入れやすい言い方、無理のない要求の仕方が思い浮かんでくるものです。

 教え、そして教えられるコンサルティング&トレーニング・レクチャーの場。ここで誰か信頼できる人に指摘してもらえることの大切さを、改めて自分事として腹落ちがした気がします。問題点を意識することで、直らないまでも、必ず自分のなかで良い方向に向かう変化が生まれることも実感できるはずです。

 さらに付け加えるならば、偉くなればなるほど、「できてませんよ」と言ってくれる人はどんどん少なくなっていくという現実があります。ポジションが上がるほど、「できてないことを、できてない」と言ってくれる人を大事にしたいものですね。

 

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この記事の執筆者

yamakawa midori
山川碧子(やまかわ みどり)

株式会社プライムイメージ代表/AICI国際イメージコンサルタント。2006年からビジネスパーソンの印象管理・印象マネジメント®を中心にサポートしています。著書『4分5秒で話は決まる~ビジネス成功のための印象戦略』。お仕事のご依頼はこちらからお願いします。